これはよかった!小林かいち展@吉祥寺美術館
さて、東京です。
9月は大阪にも行ったのですが、なんかそれからずいぶん経った気がします。連休があったからでしょうか?
目的はもちのろんで、美術館なのですが、今回、直前で計画に入れた、小林かいち展がすごくよかったのです。
このチラシに大きく載っている絵は、かいちの中では珍しいものなのです。ほとんどの絵は女性の顔がはっきりと描かれていません。口だけとかがほとんど。なのに、どうしてあんなに憂いな表情が出せるのか。
当時、あの絵封筒に夢中になった女学生のため息が聞こえてきそうです。
そして、女性は泣いている、悲しんでいる。ただただ憂いている。
締め付けられるようなあの胸の痛み。
もう、完全に乙女心をつかんでいます。
竹久夢二も、中原淳一も、かいちもそうだけど、男性がこうまで女性の気持ちを表現できてしまうのか。男性だからなのか。
恋(おそらく)に嘆き悲しむ女性の姿は、ちょっと背伸びをしたい年頃の女学生にはたまらなかったでしょうね。自分はまだそれを体験したわけではないけれど、あの絵をみると涙を流してしまうんだと思います。
そして、版画なのがまた良いのです。
私が今、版画が気分だからなのかもしれないんですけど、木版画がいいんです。
木版画のあのぼかし。
かいちの絵で使われる色は、赤、黒、金が多いんですが、青を中心とした、ブルーグレーのようなグラデーションが本当に美しい!!この色使いはあんまり多くないので、展示室でも目をひくんです。
そして、
このトランプです。
トランプをモチーフにしているからなおのこと好きなんだなあ。
有元利夫もトランプをよく描いているし、トランプってなんか普遍的なイメージを伝えていると思うんです。
今や全世界で共通の、誰でも知っているカード。それを入れるってことは、皆が同じように思うというか、何も特別ではないということを表す一つだと思うのです。
ほんとにセンスがいい。
京都の舞妓さんを描いたものは、着物や帯の柄がもうどれも良くて。
ハート柄の着物とか、だらりの帯の幾何学模様みたいなのに、「ああ京都だなぁ」という気持ちも裏切らない柄。
媒体が媒体なだけに、大画家とはならないんだけど、すごくかっこよくて、モダンで、そして哀しい。
これだけのために、吉祥寺まで行って本当に良かった。もうすぐ会期終わりなので、ちょうと間に合って良かったです。
前回東京の、中野ブロードウェイでみた桑原弘明氏のスコープのような。
地方にいると、大きな美術館以外はなかなか情報が入らないのですが、だからこそ、出会えた時の喜びも大きいのかな。
吉祥寺美術館、100円です。お得!!
そして常設の方もいずれも版画家で、木版と銅板の違いもわかって、すごく楽しかった。
はじめて吉祥寺に行ったけど、おしゃれな街っていう印象はあんまり受けなかった。
でも、常に住みたい街の上位にくるってのはすごく納得。
駅前のアーケードの商店街とか、あれは便利そう。
この美術館も駅からすぐで、商業施設の中にあり、19:30まで開館しているので働いている人も行きやすい。
9/21(水)は、雨にもあたらず、とても良い気分になったのでした。